後脛骨動脈が触れない原因とは?足の血流異常と病気を見抜く触知の極意
足の冷えやしびれを覚えたとき、あるいは臨床や介護の現場でバイタルサインを確認する際、「くるぶしの内側にあるはずの脈がまったく触れない」と戸惑った経験を持つ人は少なくありません。足首周辺の拍動は、心臓から送り出された血液が四肢の末端まで正常に届いているかを示す極めて重要なバイオマーカーです。
なかでも足首の内側に位置する後脛骨動脈は、足の血行状態を把握する上で欠かせない指標となります。しかし、適切な触知部位や解剖学的特徴を理解していないと、熟練した医療従事者であっても拍動を見失うケースが珍しくありません。単なる測定手技のミスなのか、それとも血管の狭窄や閉塞性動脈硬化症(ASO)といった深刻な疾患の前兆なのか。2026年の最新知見をもとに、現場のリアルな観察知見を交えて徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:後脛骨動脈の触知部位は「内果後下方」であり、関節を軽く緩めて骨に向かって面で押さえるのが触知の鉄則である。
- 要点2:拍動が触れない背景には、過度な圧迫や下肢浮腫といった物理的要因のほか、末梢動脈疾患(PAD/ASO)の虚血リスクが潜む。
- 要点3:足背動脈との比較やABI検査、下肢動脈エコーを組み合わせることで、見落とされがちな重症下肢虚血の早期発見に直結する。
【解剖と触知部位】後脛骨動脈の走行と「内果後下方」を見つける確実なアプローチ
正確なアセスメントを行うための大前提となるのが、後脛骨動脈 解剖の立体的な把握です。後脛骨動脈は、膝の裏を通る膝窩動脈から分岐し、下腿後面の深層(ヒラメ筋の深部)を下降して足首へと到達します。下腿を下る過程で腓骨動脈などを分枝しながら、内果(内くるぶし)の後ろを通り抜け、足底へと至って内側・外側足底動脈へと枝分かれしていきます。
臨床において指標となる後脛骨動脈 触知部位は、まさにこの内果の後ろを通過するエリアです。具体的には、内果の最も突出した骨の頂点から、アキレス腱に向かって指1〜2本分後方、かつやや斜め下に位置する「内果後下方」の窪み(屈筋支帯の下、足根管部)が探索ポイントとなります。この部位では動脈が脛骨の後面に近接し、骨を背負う形になるため、体表から拍動を感知しやすい解剖学的構造になっています。
内果後下方 探し方を実践する際は、まず親指や示指で内くるぶしの骨の輪郭をしっかりと確認します。そこからアキレス腱との間にある溝へ滑り込ませるように指先を置き、骨の縁に沿って指腹を沈ませていきます。この溝には内側から順に「後脛骨筋腱」「長趾屈筋腱」「後脛骨動脈・静脈」「脛骨神経」「長母趾屈筋腱」が並んで走行しており、腱の硬い感触と神経の走行を念頭に置きながら、その間にある柔らかな拍動を探り当てる感覚が求められます。
もう一つの代表的な脈拍測定部位である足背動脈 触知 違いを押さえておくことも不可欠です。足の甲を走る足背動脈は体表近くにあって触れやすい反面、先天的な解剖学的変異や低形成・走行異常が約5〜12%の頻度で存在すると医学統計で報告されています。これに対して後脛骨動脈の先天欠損は1〜2%未満と極めて稀です。つまり、後脛骨動脈は個体差による欠損リスクが極めて低く、下肢全体の血流動態を評価する上で最も信頼に足る基準血管と言えます。

【現場直伝】後脛骨動脈の拍動が触れない理由と「見つからない時」の技術的対処
探すべき位置に指を置いているにもかかわらず、なぜ脈が触れない事態が起きるのか。検査者を悩ませる後脛骨動脈 触れない 理由の多くは、病変以前の「測定技術の落とし穴」と「生体側の物理的障壁」に分類できます。
臨床現場で最も頻発する技術的ミスは、拍動を感じ取ろうと「強く押し込みすぎること」です。後脛骨動脈は弾力性に富む中型動脈であり、下地の骨に向かって指先を強く押し付けすぎると、血管腔そのものが押し潰されて血流が一時的に遮断されてしまいます。また、検者自身の指先の動脈が強く拍動し、自己の脈を被験者の脈と錯覚するトラブルも後を絶ちません。
生体側の要因として圧倒的に多いのが「下肢の重度な浮腫(むくみ)」です。心不全や腎機能障害、肝硬変、低栄養、あるいは長時間の安静によって皮下組織に水分が貯留すると、皮膚表面から血管までの距離が数ミリ単位で深くなります。クッションのように水分を吸った組織が拍動の衝撃波を吸収してしまうため、体表まで波形が伝達されにくくなります。さらに、冬場の寒冷刺激や緊張に伴う交感神経の緊張は末梢血管の攣縮(スパズム)を引き起こし、血管径が収縮して脈波を極端に減弱させます。
こうした状況を打破するための脈拍 触知のコツとして、専門医や認定看護師が実践する3つのステップが有効です。
第一に「足関節のポジショニング」です。足関節がつま先側に伸びきっていたり(過度な底屈)、逆に反り返っていたり(過度な背屈)すると、屈筋支帯やアキレス腱がピンと突っ張り、動脈の走行部を圧迫します。足首を軽く中間位、またはわずかに底屈・内反させて力を抜かせることで、腱の緊張が劇的に緩み、動脈が指先へ浮き上がってきます。
第二に「触れる面積の拡大」です。指先1本のピンポイントで探そうとせず、示指・中指・薬指の3本の「指腹(指の腹)」を揃えて広く平らに当てます。3本の指で内果後方の溝を面として捉え、ゆっくりと呼吸に合わせるように微小な圧をかけていくと、拍動の芯を捉えやすくなります。
第三に「浮腫の圧排手技」です。むくみが強い場合は、いきなり拍動を探すのではなく、数秒間かけて親指や2指で内果後下方をじんわりと持続圧迫し、皮下の組織間液を周囲へ逃がします。窪みができた直後にすばやく指腹を沿わせることで、深部に隠れていた動脈壁に直接アクセスすることが可能となります。
【病態の鑑別】触知不良に潜む「閉塞性動脈硬化症(ASO/PAD)」の危険シグナル
手技を尽くしてもなお拍動が触知できない、あるいは左右差が歴然としている場合、単なる測定ミスではなく動脈硬化を基盤とした血管狭窄・閉塞を疑う必要があります。その代表格が閉塞性動脈硬化症 ASO、包括的病名としての末梢動脈疾患 PAD 診断に直結する病態です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣などを背景に下肢の太い動脈にアテローム(粥腫)が沈着し、内腔が徐々に狭小化していくこの疾患は、動脈拍動の減弱または消失が最初期の客観的身体所見として現れます。注意すべき下肢血流障害 症状の進行過程は、臨床で広く用いられるFontaine(フォンテイン)分類によって次のように整理されます。
初期のⅠ度では「足の冷感」や「しびれ」といった軽微な違和感にとどまります。これがⅡ度へ進むと、一定の距離を歩行するとふくらはぎやお尻の筋肉に締め付けられるような激痛が走り、数分間休息すると再び歩けるようになる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が出現します。この段階で後脛骨動脈の拍動は著名に減弱、あるいは完全に触知不能となります。
さらに進行したⅢ度では、歩行時だけでなく就寝時などの安静時にも足先が焼けるように痛む「安静時疼痛」が生じ、最悪のⅣ度に至ると、わずかな靴擦れや爪切りの傷を契機に足趾組織の壊死や皮膚潰瘍が多発する重症下肢虚血(CLTI)へと陥ります。血管外科医の臨床レポートによれば、「間欠性跛行を『単なる加齢や腰痛』と思い込んで放置し、後脛骨動脈の拍動が消失して皮膚潰瘍ができてから初めて受診した時には、すでに広範囲のバイパス手術やカテーテル治療、あるいは足指の切断を迫られるケースが後を絶たない」という現実が厳然として存在します。
【データ比較検証】下肢血流評価における検査指標と触知精度の客観的数値
触診による脈拍確認は簡便で優れたスクリーニング手法ですが、検査者の主観に左右される限界を孕んでいます。現在の循環器・血管診療では、理学的所見と各種モダリティを数値データで突き合わせる複合評価がスタンダードです。
下肢動脈の血流評価において用いられる主要な検査指標と、その基準値および精度の違いを以下の比較表にまとめました。
| 項目 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 触診による脈拍評価 (後脛骨動脈・足背動脈) | 触知の有無、拍動強度(0〜2+)、左右差の有無を指腹で判定 | 左右とも良好に触知(2+が標準) 欠損頻度:後脛骨動脈 < 2% | 費用ゼロで即座に実施できる第一選択。ただし浮腫や検者の技量による偽陰性に注意が必要。 |
| ABI検査 (足関節上腕血圧比) | 足首収縮期血圧 ÷ 上腕収縮期血圧 (両手両足の血圧を同時測定) | ABI検査 基準値 ・正常値:0.91〜1.39 ・境界値:0.90以下(PAD診断) ・石灰化:1.40以上 | PADスクリーニングの世界的ゴールドスタンダード。0.90以下は感度約80〜90%で狭窄を検出。 |
| 下肢動脈エコー (超音波血管検査) | 下肢動脈エコー 血管検査 血流波形(三相性・二相性・単相性)、最高血流速度(PSV比) | 健常血管:三相性波形(Triphasic) 高度狭窄部:PSV比 2.0〜3.0倍以上、末梢波形の平低化 | 非侵襲的かつリアルタイムに狭窄部位とプラーク性状を特定可能。技師の技術力に依存する面あり。 |
| 皮膚灌流圧(SPP) (微小循環検査) | レーザードプラ法により毛細血管網の再灌流圧をmmHg単位で計測 | ・正常値:50 mmHg以上 ・創傷治癒困難:40 mmHg未満 ・重症虚血:30 mmHg未満 | 重度石灰化でABIが1.40を超える透析患者等において、末梢微小循環を正確に測る決定打となる。 |
データが物語る通り、ABI検査 基準値において「0.90以下」が計測された場合、触診で拍動が触れない理由の多くは病的な主幹動脈閉塞にあると確定づけられます。一方で、長期透析患者や進行した糖尿病患者では、メンケベルグ型動脈硬化により血管壁が石灰化してカフで押し潰せなくなり、ABIが「1.40以上」という偽高値を示す罠が存在します。こうしたケースでは皮膚灌流圧(SPP)や下肢動脈エコーのドプラ波形解析を組み合わせることが必須となります。
【実態検証】臨床現場・看護の生の声から見る「触知困難」のリアルな壁
病棟や訪問看護、透析クリニックの最前線では、日夜この血管をめぐる緊迫したアセスメントが繰り広げられています。後脛骨動脈 脈拍測定 看護の実態について、ベテラン看護師や血管診療技師の証言からは現場ならではの苦悩が浮かび上がってきます。
都内の大学病院で心臓血管外科病棟に勤務する主任看護師は、次のように語っています。
「腹部大動脈瘤の手術後やカテーテル治療後、下肢の末梢塞栓症(ブルー・トウ症候群など)を早期発見するために後脛骨動脈の触知は毎勤務帯の必須項目です。しかし、術後管理中の患者さんは輸液負荷や心不全傾向で下肢がパンパンに浮腫んでいることが非常に多い。新人の頃、どうしても脈が触れず『閉塞したかもしれない』とパニックになり当直医を叩き起こしたことが何度もありました。先輩から教わったのは、慌てずに親指でしっかり浮腫を圧迫して窪みを作り、足を少し内側に傾けさせて腱を緩める技術でした。このワンアクションだけで、隠れていた拍動がドクドクと指先に伝わってきた時の安堵感は今でも忘れられません」
一方、訪問看護ステーションの所長は、在宅高齢者における「日常の見落とし」に警鐘を鳴らします。
「独居の高齢者宅を訪れると、『最近足が冷えるから靴下を3重に履いている』とおっしゃる方が大勢います。靴下を脱がせて後脛骨動脈を触診すると、脈が完全に途絶えており、足趾が冷たく蝋のように白くなっている。訪問看護の現場では、単に体温計で熱を測るだけでなく、必ず靴下を脱がせて足背動脈と後脛骨動脈の拍動を手で確認し、皮膚色と毛細血管再充満時間(CRT)を診るルーティンを徹底しています。これによって、足壊疽による救急搬送を何件も未然に防ぐことができました」
SNSや医療関係者のコミュニティ掲示板でも、「後脛骨動脈がどうしても触れない時は、ドプラ血流計(ポケットドプラ)を当てて音を聴く」「左右を同時に触れて拍動の立ち上がりのズレを確認する」といった実務的なノウハウが盛んに情報交換されています。生身の人間の身体は教科書通りの直線的な走行ばかりではなく、加齢に伴い動脈が蛇行(トーション)していることも、触知を難しくさせる現場のリアルです。

【一般に知られていない盲点】「触れない=即手術」ではない?ネットの誤解と真実
医療情報へのアクセスが容易になった現在、インターネットやSNS上では極端な言説が独り歩きし、患者や家族に不必要な恐怖や誤った自己判断を植え付けるケースが散見されます。ここで3つの典型的な誤解を是正しておかなければなりません。
誤解1:「後脛骨動脈の脈が触れないなら、すぐに足を切断しなければならないのか?」
これは最も多い極端な不安ですが、事実は異なります。仮に主幹動脈である後脛骨動脈に閉塞があったとしても、人間の身体には自然のバイパスである「側副血行路」を発達させる適応力があります。太ももやふくらはぎの毛細血管網や腓骨動脈が発達し、足先への血流を代償して補っていれば、安静時疼痛や組織壊死を起こさず薬物療法や運動療法(リハビリテーション)で長期間安定を保てるケースは多々あります。触れないことは「精査が必要なサイン」であって、「即手術・切断」を意味するものではありません。
誤解2:「足が温かいのだから、動脈硬化は絶対に起きていない?」
これも非常に危険な油断です。下肢静脈瘤などによる静脈うっ滞や、初期の局所蜂窩織炎(細菌感染)を併発している場合、皮膚表面はむしろ充血して熱を帯びることがあります。「温かいから血流障害ではない」と思い込み、動脈拍動の消失を見落としていると、皮下組織の深部で虚血が急速に進行し、ある日突然黒色壊死へと転じることがあります。
誤解3:「糖尿病の持病があるが、足の痛みがないから大丈夫?」
糖尿病性神経障害を合併している患者の場合、痛みを伝える神経線維そのものが麻痺しているため、重症な血流不全に陥っていても一切の自覚症状(跛行や疼痛)を訴えません。無痛のまま病態が進行し、靴擦れから数週間で骨髄炎に達する事態を防ぐため、糖尿病患者において「痛みの有無」ではなく「拍動の有無と皮膚の視診」が絶対的な観察指標となります。
【専門家の提言】足を守り切るための医療機関連携と読者が取るべき受診判断基準
動脈の触知異常に気づいた際、医療機関を受診すべきか否か、あるいはどの診療科の門を叩くべきかについて、明確なトリアージ基準を持っておくことが自らの足を救う分岐点となります。
【プロの結論】受診を急ぐべき人・慎重に経過観察できる人の判断基準
以下の条件に当てはまる場合、放置せずに速やかな専門医療機関への受診が強く推奨されます。
- 即座に血管外科・循環器内科を受診すべきケース:
- 「数百メートル歩くだけでふくらはぎが痛くなり、休まないと歩けない」症状が数週間以上続いている。
- 片足の後脛骨動脈・足背動脈の拍動が明らかに弱く(または触れず)、足先が蒼白で冷えが左右非対称である。
- 夜間、横になると足先がズキズキと痛み、足をベッドから下ろして垂らすと痛みが和らぐ(典型的な安静時虚血症状)。
- 足の指先に治りにくい黒ずみ、小さな傷、タコ周囲の発赤や潰瘍が存在する。
- かかりつけ医でまず相談すべきケース:
- 両足ともに冷えはあるが、歩行時の痛みはなく、靴下を脱ぐと数分で自然なピンク色を保っている。
- 強い浮腫があり触知しづらいが、皮膚の色調変化や創傷はない(浮腫の原疾患精査を優先)。
受診先として最も適切なのは、循環器内科、心臓血管外科、または「フットケア外来」「下肢救済センター」を標榜する総合病院です。腰痛を主訴として整形外科(腰部脊柱管狭窄症など)に通院している患者の中に、実は血管性の間欠性跛行が混在している事例が約15〜20%にのぼると推計されています。「整形外科の治療を受けているのになかなか歩行時の痛みが引かない」という方は、一度足首の脈拍触知とABI検査を希望する旨を医師に申し出るべきです。
【後脛骨動脈】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:一般の人が自宅で自分の後脛骨動脈の脈を測ることはできますか?
A1:十分に可能です。入浴後など体が温まり、筋肉がリラックスしている状態が適しています。椅子に座って片足を反対側の膝の上に乗せ、あぐらをかくような姿勢をとると、内果後下方の腱が緩んで触れやすくなります。人差し指と中指の腹を軽く当て、強く押し付けずにじんわりと拍動を探してみてください。日頃から触れる習慣をつけておくと、左右差や拍動の衰えにいち早く気づけるようになります。
Q2:足背動脈と後脛骨動脈、日常点検ではどちらを重視すべきですか?
A2:基本的には「両方の確認」が原則ですが、どちらか一方を選ぶのであれば後脛骨動脈が優位です。足背動脈は生まれつき走行がズレていたり血管が細かったりする人が約1割存在しますが、後脛骨動脈は解剖学的な欠損が極めて稀であるためです。両方の脈が力強く打っていれば、足首から先への主幹動脈血流は極めて良好と判断できます。
Q3:触れないからといって、強くマッサージしたり温めたりしても良いですか?
A3:動脈硬化による血流障害が疑われる場合、強いマッサージや急激な加温(湯たんぽや電気アンカの直接使用)は絶対に避けてください。狭窄を起こしている血管壁のプラークを破綻させて完全閉塞を招くリスクがあるほか、虚血や知覚障害を伴う皮膚は熱に極めて弱く、容易に重度の低温火傷を起こして壊死の引き金になります。自己流の処置は行わず、専門医の確定診断を仰いでください。
Q4:ABI検査はどのようなクリニックで受けられますか?痛みはありますか?
A4:循環器内科や血管外科はもちろん、生活習慣病を扱う一般内科クリニックでもABI測定装置(血圧脈波検査装置)を導入している医療機関は多数あります。測定手順は両腕と両足首に血圧計のカフを巻き、5〜10分程度安静にするだけです。通常の血圧測定と同じ圧迫感があるのみで、注射のような針を刺す痛みや苦痛は一切ありません。
まとめ:触知の技術と早期の客観的検査が下肢の未来を左右する
後脛骨動脈の拍動は、下肢末梢への血流を雄弁に物語る生体の重要な警報装置です。「触れない」という現象の裏には、測定圧の過不足や下肢浮腫、解剖学的走行の個人差といった日常的な技術要因から、命や四肢の温存に関わる閉塞性動脈硬化症(PAD/ASO)の進展まで、多様な要因が折り重なっています。
大切なのは、触知部位である内果後下方の解剖を正しく理解し、過度な圧迫を避け、足首を緩めて「面」でアプローチする技術を身につけることです。そして、どうしても拍動が捉えられない時や間欠性跛行などの自覚症状を伴う時は、一人で抱え込まずにABI検査や下肢動脈エコーといった客観的画像検査へと速やかに歩を進める姿勢が求められます。日頃の丁寧な触診と適切な医療連携こそが、健康な足で生涯歩み続けるための揺るぎない基盤となります。 (出典: 後 脛骨 動脈(Yahoo!ニュース))